季節に応じた着物の種類と婚礼衣装事情

名古屋で神前式・仏前式のお手伝いをしております。
神社仏閣挙式専門プロデュース 和婚コトノワです。
ブログをご覧いただきありがとうございます。

今日から9月。
和名の長月（ながつき）は夜長月が由来のようで
確かに日が暮れるのが早くなったのを感じ
暦のうえでは秋だなぁと感じさせられます。

和婚をお手伝いさせていただく私達は
お着物の話しをお客様とさせていただくことが多いのですが
その中でお話しする機会もある着物と季節について
すこし記事にさせていただきます。

季節によって異なる着物の仕立て

着物はその着用時期によって生地・仕立て方が変わります。
大きく分けて仕立ての違いが2種類
『袷仕立て』と『単衣仕立て』です。

簡単に言うと、
袷の着物は “表地と裏地”の2枚をくっつけて出来ている着物
単衣の着物は “表地のみ”で裏地が無い物
といった違いです。

季節でいうと、６～９月の着物は単衣で仕立て
10月～5月までは袷の仕立ての着物が基本です。
ただ、６～９月の中でも盛夏になる７・８月は
絽や紗といった透ける生地の夏着物を着用します。

1月～5月　　袷着物
6月　　　 　単衣着物
7月～8月　　単衣着物／絽や紗（薄物）
9月　　　 　単衣着物
10月～12月　袷着物

結婚式をお手伝いしていて
新郎新婦様以外でご用意させていただく機会が多いのは
①新郎新婦のお母様やおば様方といった既婚親族女性の「黒留袖」
②新郎新婦のご姉妹様で未婚女性の「振袖」
③その他「色留袖」「訪問着」「色無地」
といった順ですが
この着物全てに上記のような
「袷」「単衣」「夏（絽や紗）」といった使い分けが存在します。

結婚式で着る着物について

7月や8月の結婚式のお母様方からは
「暑い時期なので夏用の留袖にしたいのだけれど」と
ご相談いただく機会もございます。
私達も、洋服でも暑い時期なので
絽や紗のお着物をおすすめしたくなるのですが
結婚式のレンタル着物として（特に黒留袖）は
実はあまりおすすめしておりません。

理由は大きく２つ

①写真映り
実はこれが一番の理由。
絽や紗といった生地は、暑さをしのぐため
生地を織る際に空きを作り透ける生地にしています。
そのため、着用すると薄く下の襦袢が透けるんです。

お母様方に着用いただく第一礼装の黒留袖は
「黒」であることが大切で、より深い黒が好まれます。
ですが絽の留袖を着てしまうと、
下の白襦袢(留袖は基本襦袢は白)が透けてしまい
一見、紫っぽくも見える事があります。

もちろん、それがダメではないのですが
先ほど書いたようにより黒である事が望まれる中で
結婚式の集合写真などで黒く見えない事を後で知って後悔する方も。

②両家で合わせることが難しい
最近では少なくなっているかもしれませんが
以前は留袖や喪服といった着物を嫁入りを期に仕立てる
もしくは嫁入り道具として持っていくことが多くありました。
なので留袖は持っているといったお母様方も多くいらっしゃいます。

そういった場合、ほとんどが袷仕立ての留袖です。
正式な場でしか着用しない着物ですし、
そもそも冷暖房設備が望めなかった昔は真夏や真冬に婚礼を
想定していないといったこともあるかも知れません。

現代ではほとんどの婚礼の場で空調設備がありますので
それほど気にしなくてもよくなったことと
留袖や振袖といった着物も高価な品ですから
お手元にお持ちの方はやはりご自身のモノを着用したいという理由
そして、先ほど記したようにより深い黒を良しとする考えも重なり
夏でも袷の留袖をお見受けする機会は多々あります。

そんな中、一方のお母様が絽の留袖をレンタルしてしまうと
相手のお母様と見え方の違いが出てしまいます。

そういった理由を踏まえ
私達は現状、理由をよくお伝えしたうえで
袷の着物をおすすめすることが多くあるのも実情です。

こんな話をすると「やっぱり着物は難しいから洋服にしよう」
といった声も聞こえてきそうですが
あくまでも「一般的」な話で絶対ではありません。

個人的には何なら一年の中でこれだけの猛暑が続き
気候の変化がある世の中ですから
着物のルールやあれこれも、変わってきてもいいのかな？
と思うところもあります。

それでも知っていて行う事と、知らずに行う事とでは
その意味合いも違ってくると思いますので
どうぞ参考までにご覧いただけたらと思います。

もちろん和婚コトノワでお手伝いさせていただく際は
こういったご質問にも丁寧にお返事させていただきますので
どうぞお気軽にご質問くださいませ(^^)

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